読書

ロバート・バートン『憂鬱の解剖』 和訳PDFファイルへのリンク

「ロバート・バートン『憂鬱の解剖』第1部 第1章 第1節」 https://kpu.repo.nii.ac.jp/records/4169 「ロバート・バートン『憂鬱の解剖』第1部 第1章 第2,3節」 https://kpu.repo.nii.ac.jp/records/4185 ロバート・バートン『憂鬱の解剖』第1部 第2章 第1節…

柄谷行人『力と交換様式』

メモ 交換様式でいえば、ネーションは、Aの”低次元での”回復である。ゆえに、それは、国家(B)・資本(C)と共存すると同時に、それらに抗する何かをもっている。政治的にそれを活用したのが、イタリアのファシズムやドイツのナチズムであった。今日では、概…

【抜き書き】『〈死の欲動〉と現代思想』トッド・デュフレーヌ

精神分析という中立的な鏡が眩暈を起こすような姿見となり、かつそうでつねにありつづけ、『エクリ』とフロイトの夢の本が旧約、新約の聖書なのであるとすれば、ラカンもフロイトも精神分析的な大義という集団(心理的な)効果において完全に断片と化した主…

加藤敏『職場結合性うつ病』 ハンス・アスペルガー クラーゲス

筆者は現代社会自体が、人間にそなわる自然な感情(情動)と直感を排して、量と論理をなによりの思考の基準とする「操作的思考」が優位になっている点で、アスペルガー症候群に親和的な布置をもっていることを、ハンス・アスペルガーの原典にあたりながら最…

「境界例は拘束を嫌う」という話と、ひたすら「自由」を求めつづけたウィリアム・バロウズの寂しい晩年

林公一『境界性パーソナリティ障害 患者・家族を支えた実例集』 という本に「境界性パーソナリティ障害の人は強く『自由』を求めるが患者にとって『自由』は有害になる場合が多い」というようなことが書いてあったような… 自分こそ彼(彼女)の治療者になろ…

太宰治『桜桃』 D.W.ウィニコット『人間の本性』

・躁的防衛 健康な発達に必要なことは、ある種の真面目さ、自己について疑いをもつこと、黙想に浸る時間を必要とすること、一時的に希望のない局面に陥りやすいことなどがある。抑うつは潜在的で、人格の中核にあり、ある種の真面目になる能力として表面化す…

ズルズルベッタリの状況追随主義 藤田省三

(1) ズルズルベッタリの状況追随主義からの切断 日本の天皇制社会の原理は、人間社会が自然世界と公然と対立せず、国家が家や部落や地方団体と公然と対立せず、公的忠誠が私的心情と公然と対立せず、全体と個が公然と対立せず、その間のケジメがないまま…

ビョンチョル・ハン『疲労社会』 肯定性の過剰 コンビニ

ハンによれば、「疲労の本質的な理由は、肯定性の過剰」である。ただ、この肯定性は本来の言葉の意味ではなく、現代世界の攻撃的な基本的特徴として理解されるべきである。可能性が多過ぎることと絶え間なく肯定することは、疲弊させる。現代人は今や自分が…

『悪について』エーリッヒ・フロム トランプ現象

極度にナルシシスティックな集団は、自己と同一視できる指導者を強く求める。集団はそのナルシシズムを投影し、指導者は称賛される。強力な指導者に服従する行為――これは深層心理では共生と同一視される行為である――によって、個人のナルシシズムが指導者に…

有島武郎 惜みなく愛は奪う(奪わない)

とりあえずメモです 有島武郎は、「私の小さな愛の経験」に基づいて「惜しみなく愛は奪う」というエッセーを書いている。彼はこの中で、「愛とは与えるものではなく奪うものだ」という事実を強調し、この主張をふくらませて、「(人間は)絶えず外界を愛で同…

『有機栽培の基礎と実際』小祝政明

メモ ・石灰は植物の細胞を締めて硬くする ・カリは植物の細胞をゆるめて柔らかくする ・寒い時期は締まる ・暑い時期はゆるむ ・夏には石灰をやる ・冬にはカリをやる ・C/N比15~20の堆肥をやる(炭水化物供給力が高い) ・目標とするC/N比の20~30%増しの材…

『私たちはどんな世界を生きているか』西谷修

先住民が住んでいたところを白人の所有物にする。それを登記簿上の財産として売り買いして儲けるのが、不動産屋です。だから、「古いアメリカ」が回帰台頭するときに、「アメリカ・ファースト」を掲げて登場した大統領が、これまで「帝国」の政治に全然関与…

野菜をつくる場所は、遅くとも朝9時には太陽が当たるところを選ぶこと。

野菜をつくる場所は、遅くとも朝9時には太陽が当たるところを選ぶこと。 『誰でも簡単にできる! 川口由一の自然農教室』P18 まじかー・・・

『土・牛・微生物』デイビッド・モントゴメリー

だが、他にも考慮することがある。浅根の作物のあとに深根のものを栽培したほうがよい。バイオマス生産量の低い作物のあとに高いものを栽培したほうがよい。栄養を吸収する作物のあとに栄養を固定するものを栽培したほうがよい。言い換えれば、作物を栽培す…

デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』 原因となる喜び

はやくも一九〇一年、ドイツの心理学者カール・グロースは、幼児はみずからが世界に対して予測可能な影響を与えられることにはじめて気づいたとき、並々ならぬ幸福感を表現することを発見している。その影響の具体的内容も、自分になにか得があるかも、なに…

トンデモ・ポパー

ポッパーも、オーストラリアの神経生理学者、ジョン・エックルスとの対談の中で、未成熟の動物には意識があるかもしれないが、成熟してくると意識を失い、だんだん自動機械になっていく、などとトンデモナイことを言っています。 山鳥重『「気づく」とはどう…

貧しい患者には居丈高になる高名なK大学精神神経科の某教授って? 霜山徳爾『素足の心理療法』

貧しい人々にも当然、心理療法は適応であり、丁寧な心理療法は必要であり、かつ有効である。かつてずっと以前のことであるが、K大学精神神経科の某教授が、貧しい患者と知ると急に居丈高になるのを、憮然として見ていたことがあるが、この高名な人の人間的な…

フロイトの「子供が叩かれる」について

十川幸司『フロイディアン・ステップ』より 「子供が叩かれる」は、フロイトの論文の中でもとりわけ錯綜した構造を持ち、しかも論述が曖昧なゆえに、とっつきにくいものの一つである。何にもましてこの論考の理解を阻んでいるのは、「子供が叩かれる」という…

新宮一成『夢分析』

人間になったということは、赤ん坊から見れば高い空のような、言語が飛びかう平面に躍りでたということを意味している。言葉を話せるようになったのだ、という自覚は、空に達したという感覚として登録される。空飛ぶ夢は、飛んでいる我々に、不思議な感じを…

斎藤貴男『平成とは何だったのか 「アメリカの属州」化の完遂』

平成とは何だったのか [ 斎藤貴男 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 歴史 > 日本史ショップ: 楽天ブックス価格: 1,620円 無責任の体系・立場主義 私はその話を聞きながら、梅田事件のときの刑事課長の話を思い出していました。梅田…

中井久夫『私の日本語雑記』

ところで、家庭内の夫婦の会話や圧倒的上位の人の目下への日本語には聞くに堪えないものがしばしばある。日本人の言葉は自分の手のうちに入った弱者には別人のように乱暴で過酷になる嫌いがある。「聴き手としての世間」 がいないところだからだろうか。とす…

安岡章太郎『文士の友情』

繰り返して言うが、吉行や私たちにとって、戦争は特殊な時代ではなかった。というより“戦後”は戦時中に準備されていたものだ。例えば戦後民主主義といわれるものは、アメリカ占領軍によって与えられたものに違いない、しかし民主主義の根にある平等観は、何…

芝伸太郎『日本人という鬱病』

シュルテは「自分の治療した鬱病患者の大半(九〇パーセント近く)が(健康時のみならず)病相期においても本質的には宗教に対して無関心であった」と述べている。さらに、彼は「元来それなりの宗教心を持っていた者でさえ、病相期にはその関心を失うような…

コンタルド・カリガリス『妄想はなぜ必要か』

妄想はなぜ必要か―ラカン派の精神病臨床 作者: コンタルドカリガリス,Contardo Calligaris,小出浩之,西尾彰泰 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2008/03/25 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 34回 この商品を含むブログ (10件) を見る 倒錯者のように…

滝本竜彦『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫) 作者: 滝本竜彦,安部吉俊 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2004/06/24 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 119回 この商品を含むブログ (309件) を見る チェーンソー男=男主人公とヒロイン(戦闘美…

中村淳彦『ルポ 中年童貞』 と 境界例

ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書) 作者: 中村淳彦 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2015/01/29 メディア: 新書 この商品を含むブログ (12件) を見る 本書には大学時代にリストカットを繰り返し「境界性人格障害」の診断を受けた「中年童貞」の山下博氏(仮名・34…

古屋健三『青春という亡霊』

青春という亡霊―近代文学の中の青年 (NHKブックス) 作者: 古屋健三 出版社/メーカー: 日本放送出版協会 発売日: 2001/10 メディア: 単行本 クリック: 2回 この商品を含むブログ (4件) を見る ビオンの「ベータ要素」と「アルファ機能」を連想 一般的に青年が…

ドブロリューボフ『オブローモフ主義とは何か?』

オブローモフ主義とは何か?―他一編 (岩波文庫 赤 610-1) 作者: ドブロリューボフ,金子幸彦 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1975/04/16 メディア: 文庫 クリック: 6回 この商品を含むブログ (4件) を見る ニートの元祖(?)、オブローモフ オブローモフ的…