文学

【メモ】ウィニコットの「偽りの自己」、フィリップ・K・ディック『ユービック』

何か似ていると思いませんか? 一方,偽りの自己の組織化は,「ある特定の環境の失敗に対して.個人がその失敗状況を凍 結することによって自己を防衛」 (1954b邦訳 p177強調は著者) している側面をもち,これは正常で健康なことと考えねばならない。それは本当の自…

三島由紀夫とコフートの理論

何か関係ありそうじゃないでしょうか 自分では十分俗惡で、山氣もありすぎるほどあるのに、どうして「俗に遊ぶ」といふ境地に成れないものか、われとわが心を疑つてゐる。私は人生を殆ど愛さない。いつも風車を相手に戰つてゐるのが、一體、人生を愛するとい…

ロバート・バートン『憂鬱の解剖』 和訳PDFファイルへのリンク

「ロバート・バートン『憂鬱の解剖』第1部 第1章 第1節」 https://kpu.repo.nii.ac.jp/records/4169 「ロバート・バートン『憂鬱の解剖』第1部 第1章 第2,3節」 https://kpu.repo.nii.ac.jp/records/4185 ロバート・バートン『憂鬱の解剖』第1部 第2章 第1節…

太宰治「春の盗賊」、クリストファー・ボラス『対象の影』第10章「虚言者」

次に物語る一篇も、これはフィクションである。私は、昨夜どろぼうに見舞われた。そうして、それは嘘であります。全部、嘘であります。そう断らなければならぬ私のばかばかしさ。ひとりで、くすくす笑っちゃった。 図書カード:春の盗賊 嘘を通じてしかパー…

森鴎外 肛門性格

こうもん‐せいかく【肛門性格】 〘名〙 精神分析で、性本能の発達の第二段階である肛門期に固着することによって生じる性格の類型。吝嗇(りんしょく)、気強さ、几帳面、潔癖がその特色で、強い場合には退嬰(たいえい)的、敵意的になるといわれる。 肛門性格(…

蟹嫌いの三島由紀夫と海老・蟹嫌いのサルトル 🦀🦐😱

サルトルのエビ・カニ嫌いは有名である。彼は甲殻類を、この世のものならぬ「別世界のも の」「別の宇宙から盗んできたのだ」と言っている。 ジャン=ポール・サルトルに関する病跡学的試論 https://www.jstage.jst.go.jp/article/shukulib/40/0/40_KJ000071…

三島由紀夫「しかし肉体には、機械と同じように、衰亡という宿命がある。私はこの宿命を容認しない。」 DSM-IV「自己愛性人格障害をもつ人は、加齢とともに避けられない肉体的、職業的限界の出現に適応することが特に困難である」

DSM-IV-TR[14]は「自己愛性人格障害をもつ人は、加齢とともに避けられない肉体的、職業的限界の出現に適応することが特に困難である」としている。DSM流には、三島由紀夫は加齢とともに避けられない肉体的限界の出現に適応できなかった、と言える。 いや、適…

境界例(境界人?)っぽいものアレコレ

境界例っぽい(と個人的に思う)もの(人、作品など)アレコレ (根拠は示さず…) J・D・サリンジャー カート・ヴォネガット 太宰治 ヘルマン・ヘッセ グノーシス主義 カタリ派 『地下室の手記』 『タクシードライバー』 華倫変 山田花子(漫画家) 『少女椿…

『人間失格』の主人公・葉蔵の「世間というのは、君じゃないか」と、ひろゆき「それってあなたの感想ですよね?」の類似性

「しかし、お前の、女道楽もこのへんでよすんだね。これ以上は、世間が、ゆるさないからな」 世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。けれども、何しろ、強く、きびしく、こわいもの…

森鴎外『ヰタ・セクスアリス』 自己弁護することを自己弁護する

衒学げんがくなんという語もまだ流行はやらなかったが、流行っていたらこの場合に使われたのだろう。その外、自己弁護だなんぞという罪名もまだ無かった。僕はどんな芸術品でも、自己弁護でないものは無いように思う。それは人生が自己弁護であるからである…

中島敦の病跡?

ともかくも、自分は周圍の健康な人々と同じでない。勿論、矜恃を以ていふのではない。その反對だ。不安と焦躁とを以ていふのである。ものの感じ方、心の向ひ方が、どうも違ふ。みんなは現實の中に生きてゐる。俺はさうぢやない。かへるの卵のやうに寒天の中…