柄谷行人『力と交換様式』

メモ

 

交換様式でいえば、ネーションは、Aの”低次元での”回復である。ゆえに、それは、国家(B)・資本(C)と共存すると同時に、それらに抗する何かをもっている。政治的にそれを活用したのが、イタリアのファシズムやドイツのナチズムであった。今日では、概してポピュリズムと呼ばれるものに、それが残っている。

 

たとえば、フーコードゥルーズデリダらに代表されるフランスの哲学がこの時期、米ソの二元性にもとづく世界観をディコンストラクトする強い影響をもったことは、フランスそのものが「第三世界」にあったということと切り離せない。しかし、フランスは九〇年代に、それまでの「第三世界」性を無くした。そして、それは、フランス哲学がもっていた力を失わせることにもなった。