『土・牛・微生物』デイビッド・モントゴメリー

 

 だが、他にも考慮することがある。浅根の作物のあとに深根のものを栽培したほうがよい。バイオマス生産量の低い作物のあとに高いものを栽培したほうがよい。栄養を吸収する作物のあとに栄養を固定するものを栽培したほうがよい。言い換えれば、作物を栽培する順番にはパターンとリズムがあるのだ。

P139

 

以後、ブラウンは化学肥料を一切畑に入れていない。代わりに、マメ科植物を使ってイネ科植物に窒素を与え、イネ科植物を使って、菌根菌の作用によってマメ科植物にリンを与えている。

P195

 

 耕すたびに土は空気にさらされる。すると有機物の分解が促進され、炭素が空気中に放出される。それも相当大量に。機械化農業が始まってから、北米の耕作地はもともとあった土壌有機物の四〇パーセント以上を失った。一九五〇年以前のアメリカでは、農地の耕起が、他のすべての放出源を合わせたよりも国の炭素放出に寄与していた。

P255

 

この話は、農業による利益のほとんどは農家以外の人間が得ていることを物語る。現行の制度で本当に儲けているのは、農家にものを売る人間――慣行農業が依存する資材を売る企業なのだ。

P310