【メモ】オットー・カーンバーグによる自己愛性パーソナリティ障害の特徴

① 自己概念が非常に肥大しているが,他者から愛され賞賛されたい欲求も過剰である。劣等感を示す者においても, ときどき自己が偉大 ・全能であるという感情や空想が現れる。

②情緒が分化しておらず,喪失した対象への思慕と悲しみの感情が欠けている。他者に捨てられると落ち込むが,深く聞きいていくと怒りと憎しみが復讐願望を伴って現れる。

③他者から賞賛と承認を得たがるのに,他者への興味と共感が乏しい。情緒的深みに欠け,他者の複雑な感情を理解できない。

④他者からの賞賛や誇大的空想以外には生活に楽しみを感 じることが少ない。

⑤自己尊重をもたらすものがなくなると,落ちつかなくなり,退屈してしまう。

⑥ 自己愛的供給が期待できる人は理想化し,何も期待できない人は評価を下げ,侮蔑的に取り扱う。他者が自分にないものを持っていたり人生を楽しんでいたりするだけで,非常に強い羨望を抱く。

⑦他者から賞賛を求めるので他者に依存していると思われがちだが,他者への深い不信と軽蔑のために本当には誰にも依存できない。

⑧非常に原始的で脅威に満ちた対象関係が内在化されている。内在化された良い対象を支えにすることができない。

⑨分裂,否認,投影同一化,全能感,原始的理想化といった原始的防衛機制を示す。そのような点では境界性パーソナリティ障害 と同じだが,社会的機能や衝動統制がよく,疑似的昇華能力,すなわちある領域で能動的に一貫した仕事ができる能力がある。しかし,その仕事は深みに欠けている。

⑩不安な状況で自己統制ができるが,それは自己愛空想の増大や 「孤高(splendidisolation)」への逃避によって獲得される不安耐性である。

 

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